Webサイト分析ツールのノウハウ ~第7回:アクセス解析~
2018年08月25日
■アクセス解析アクセス解析は、特定のウェブページに対する訪問者のアクセス状況をツールにより数値データとして取得して、分析することにより、Webサイトの目標達成に結びつけます。
■アクセス解析ツールの出力項目
解析ツールが出力する数値データを、Google Analyticsを例に示します。このデータを指標として分析します。
出力項目 | 主なデータ |
ユーザ (訪問者情報) | 新規セッション数、リピートセッション数、ユニークユーザ数、ページビュー数、平均ページビュー数、平均サイト滞在時間、直帰率、使用ブラウザ等 |
トラフィック (流入経路情報) | ノーリファラー数、参照元サイト、リンク元の検索エンジン等 |
コンテンツ | ページビュー数、ユニーク表示数、直帰率、上位リンク先ページ、上位離脱ページ等 |
コンバージョン (目標達成情報) | コンバージョン数、コンバージョン率、目標到達遷移等 |
数値データは定石的な指標として、次のような意味があります。
- セッション数:サイトにアクセスし、ブラウザを開いた回数です。セッション数が伸びない場合、SEO対策や被リンク対策等の訪問者を獲得する改善策が必要です。
- 新規セッション数とリピートセッション数:新規セッション数は初めて訪問したユーザの数です。新規訪問者の獲得の水準を示す指標になります。セッション数との差がリピートセッション数です。
- ユニークユーザ数:サイトに訪問したユーザ数です。特定期間内に同じ訪問者が閲覧した場合は、ユーザ数は 1 回のままです。潜在的な顧客数など、ウェブサイトの影響力を示す指標となります。
- ページビュー数:ページがブラウザに表示された回数です。平均ページビュー数は、セッションあたり閲覧した平均のページ数で、伸びない場合、ページ数の不足や情報力の欠如等といったコンテンツの問題がないか検討が必要です。
- 平均サイト滞在時間:セッション当たりの訪問者がウェブサイトに滞在した平均時間です。短い場合、各ページが訪問者のニーズに沿った情報を提供しているかどうかを検討が必要です。ページ別の閲覧時間も確認できます。
- 直帰率:全体セッションのうち1 ページだけを閲覧したセッションの割合です。直帰率が高いとコンテンツに訪問者が必要性や魅力を感じていない可能性が高く、コンテンツの改善が急務です。
- 使用ブラウザ:訪問者が使用しているブラウザの種類が分かります。最近ではスマートフォンでの閲覧が増えており、その使用程度も分かります。
- ノーリファラー数:ノーリファラーとは他のWebサイトを経由せず、直接このサイトにアクセスしたセッションの数です。具体的には、URLの直接入力、お気に入りからのリピート訪問、メール広告等によるリンクからのアクセス等です。この数値が大きいと、クロスメディアの効果が表れている可能性があります。
- 参照元サイト:訪問者が他のWebサイトのリンクからアクセスしてきた場合、リンクを張っているWebサイトのことです。登録サイトへの登録や相互リンク等によりアクセスが増加します。
- ユニーク表示数: ページを表示したセッションの数です。同一セッションで同じページを複数回表示しても1回です。
- 上位リンク先ページ:訪問者がアクセスして最初に閲覧した上位のページで、訪問者の「入口」を意味します。上位のページがねらいと異なるページの場合、そのリンク元をたどって分析が必要です。
- 上位離脱ページ:離脱率が高いページです。離脱ページは、Webサイトの閲覧をやめて離脱したページで、訪問者の「出口」に相当します。離脱率は、そのページの離脱数÷ページ数です。離脱率が高い上位ページが最終目標となるページでない場合、検討が必要です。
- コンバージョン数とコンバージョン率:コンバージョン(conversion)とは、訪問者が商品購入、会員登録等のWebサイトの運営者が設定した目標を実行、つまり、顧客に転換することです。その回数(コンバージョン数)や割合(ユーザ数で割ったコンバージョン率)はウェブサイトの効果測定の代表的な指標です。
- 目標到達遷移:当サイトの訪問者が最初に閲覧したページから、最終目標(コンバージョン)ページに到達するまでに閲覧したページの流れを示す。どのような動線でコンバージョンに至ったかを具体的に把握することができます。
簡単に主な指標の使用例を示す。例えば、カタログのダウンロードをコンバージョン指標として、月に100件のダウンロードを目標としたが、実際には、50件しかダウンロードされていない場合を想定する。
ここで、コンバージョン率をチェックして、低かったならば、サイトを訪問したが、コンバージョンに到っていないユーザが多いと言える。
そこで、直帰率を見て割合が高いと、せっかく訪問したユーザの目的とサイトが一致していないと判断されて直ぐに離脱されていると考えられる。この場合は、当サイトを訪問したキーワードを調べて、ユーザの訪問意図とのずれがないか、キーワードの見直しを行う。
直帰率はほどほどで、いくつかのページを閲覧しているなら、サイトを訪問してから離脱するまでの動線を確認して、利用者がどこで興味を無くしたかを分析する。そして、ページの構成や内容を検討して、どのようにカタログダウンロードページまで誘導するかを見直すと良い。
セッション数が圧倒的に少ない場合は、検索サイトの表示順位を調べて、最初のページに表示されるように、上位競合サイトの内容を調査し、自サイトの更新頻度や、内容、キーワードの設定を見直す工夫が必要となる。
このように出力された各種数値データを解析して、ウェブページの訪問者の獲得、コンバージョンの獲得、ユーザビリティの改善、SEO対策等に利用しましょう。
次回から、よく利用されているアクセス解析ツールを紹介するとともに、その使い方についても簡単に説明していきます。